有限会社麩柳商店

歴史を未来へと紡ぐ 生麩の老舗が取り組むサスティナブル

有限会社麩柳商店は、明治10年の創業以来、名古屋市西区那古野で生麩の製造と販売を行っております。

熟練の職人がひとつひとつ丁寧に手作りする生麩は、なめらかで繊細な味わいと、豊かな食感が特徴です。愛知県を中心に、全国の料亭や百貨店などの食品事業者様に、高付加価値な食材として愛顧いただいております。

個人のお客様に向けては、実店舗や出張販売で田楽やオリジナルの生麩スイーツを提供しており、幅広い年代層に親しまれてきました。

今後も、皆様に安心していただける品質の高い麩製品をお届けし、さらなるご期待に応えてまいります。

地域に根差した商品開発で地域に貢献する

麩柳商店の生麩は、長時間煮込んでも煮崩れしにくい「煮込める生麩」です。
地元名古屋の名物 味噌煮込みに着想を得るなど、地域とともに長い歴史を積み重ねてきた、私たちならではの自信作です。

麩は、タンパク質や食物繊維、カルシウム、亜鉛、鉄分などのミネラルを多く含んだ伝統食材です。「煮込める生麩」には、この栄養価の高い食材を、現代のライフスタイルに合った形で使いやすく楽しんでいただきたい、また洋風アレンジ等にも活用していただきたいという思いが詰まっています。

伝統技能を活用しながら現代のニーズを満たす商品開発を今後も進めることで、地域の持続的な活性化に貢献してまいります。

生麩づくりを次世代へ継承する

生麩づくりの技術は一朝一夕で習得できるものではなく、素材の質感や微妙な温度変化を見極める繊細な感覚が求められます。

麩柳商店では、歴史や伝統を大切にしながらも、新しいアイデアや技術を取り入れることを奨励しています。
確かな技術を身につけ、自分のアイデアと自信を持ってお客様に商品を提供できるようになれば、そこに新たな価値が生まれると考えています。そうなるように、次世代を全力でサポートしていきます。

木型技術の伝承に向けた取り組み

麩柳商店の生麩は、仕上がりを最上級にするため、蒸し工程に専用の木型を使用しています。

ところが近年では、高齢化などにより木型職人が減少しており、業界にとっても大きな課題といえます。この状況を打破するため、木型作りのノウハウを持つ当社代表が木型用木材が豊富な山形県を定期的に訪問し、職人に対して技能継承のための教育を行っています。

木型の製作所を設けることも視野に入れながら、未来に技能のバトンをつなげるよう取り組んでまいります。

食材の安定供給と環境づくり

麩柳商店では、現在も140年前からの製造技法を用いています。
旬の食材を取り入れたり、可能な限り天然由来成分の着色料を使用するなど、食品添加物に依存しない丁寧な生麩づくりを続け、美味しくて安心を求めるお客様のニーズに応え続けていきます。

また、当社主導で同業代表者との意見交換会を開催し、安定的に原材料を仕入れることができる環境づくりにも取り組みはじめました。生麩をはじめとする伝統食材の価値を守り続けるために、今後も、事業者間の連携を強化し、持続可能な供給体制を築いてまいります。

製作事例

花麩

花麩は、四季折々の花や植物、野菜などをイメージした生麩です。
お料理に一目で季節を彩るだけでなく、味わえばもちもちとした独特の食感を楽しめます。

相良麩

相良麩は、もっちりとした生麩の生地に、旬の食材などを混ぜ込み蒸しあげた生麩です。
田楽やスイーツの材料など、様々な用途でお使いいただけます。

生麩のみたらし

厳選したグルテンともち米粉をブレンドした生麩団子に、地元愛知県産の厳選した白たまりと、100%鹿児島産のきび糖を使用したこだわりの自家製だれを、ひとつひとつ手作りした生麩に絡めた一品です。
生麩にしか出せないもちふわ食感と、とろ~りとした甘ダレがたまらないみたらしに仕上げました。

生麩まんじゅう(笹巻麩)

老舗和菓子店の特製こし餡を使用した生麩まんじゅうを、職人がひとつひとつ丁寧に、笹の葉に包んだ一品です。
季節によって様々な種類を用意しております。お団子を包んだ笹の爽やかな香りも楽しめます。

お麩のらすく シュガーバター味

焼き麩を使用したシュガーバター味のらすくです。
ぼろぼろになりづらく、口あたりが優しいのでついつい手が伸びてしまう焼き麩スイーツ。小さなお子様にもおすすめです。

お麩のらすく シナモンシュガー味

シナモンシュガー味のらすくもあります。

会社概要

会社名有限会社麩柳商店
創業1877年(明治10年)
資本金500万円
本社所在地愛知県名古屋市西区那古野1丁目2番3号
代表者代表取締役社長  三輪健一
従業員数13人
企業 URLhttps://fuya-furyu.co.jp/
事業内容生麩の製造、販売

サステナブル、SDGsに向けたビジネスプラン立案

伝統×革新 サステナブル経営に挑む老舗麩店のブランディング

事業拡大のための企業特性を活かしたビジネスプランの立案

ビジネスプランの特徴

長い歴史と確かな品質をお客様に伝えるため、新たな商品ブランド「那古野麩」を立ち上げます。ブランドの統一感を高めるために、伝統的な「花麩」「相良麩」「田楽」などのパッケージデザインを一新し、一貫して高級感のあるデザインへと進化させました。

百貨店のお中元・お歳暮市場への本格参入を目指して進物箱や紙袋も新調。従来のBtoBでの顧客層に加えて、BtoCでの新たなターゲット層の獲得を図ります。

持続可能となるポイント

創業148年の伝統を次世代へ引き継ぐため、伝統と革新を融合させたブランディングに取り組み、サステナブル経営を実現します。

伝統色を活用しながら、新たなロゴやパッケージを開発し、統一感のあるブランド戦略を展開。視覚的な認知度を高めるとともに、顧客に安心感を与え、企業の信頼性を強化します。

こうした取り組みを通じて、長期的に競争力を維持できる事業基盤を築き、持続的な成長を目指します。

インタビュー

本事業への参加に至る背景

当社はこれまでBtoB取引を中心に事業を展開してきましたが、コロナ禍を契機にBtoCの販売にも注力し、ビジネスを推進していきたいと考えていました。

これまで「生麩のみたらし」など進化系の生麩を開発してきましたが、市場に広めるための明確なビジネスプランがなく、専門家の支援を受けながら歴史や技術を活かした戦略を練り、営業力不足や認知度不足といった課題を克服するための具体的な施策を検討したいと考え、本事業に参加しました。

参加しての所見や感想

SDGsとデザイン経営の視点から「伝統と革新」をテーマにブランディングに取り組みました。

中小企業診断士やデザイナーの助言を受けながら、自社の歴史や生麩の価値、環境意識の高まりや地産地消の重要性を見直しました。また、新たな市場開拓に向けた具体的な施策を検討する中で、社内では当たり前と思っていたことが強みであると再認識できたことが大きな収穫でした。
さらに、漠然と感じていた弱みを整理し、ビジネス戦略に落とし込むことで、マーケティング施策や具体的なビジネス戦略へと反映させることができました。

今後の取り組み

このプロジェクトはゴールではなく、新たなスタートです。サステナブル経営の実現は理念だけでなく、具体的な行動として実践することが重要だと考えています。

今後は、地産地消をさらに推進し、地域のイベントや商談会への参加、地元メディアへの露出を通じて販路拡大を図ります。
また、SNSの活用でファン獲得と認知度向上を目指すとともに、健康志向の進化系生麩や冷凍可能な映え麩スイーツの開発を進め、将来的には飲食店の開業も視野に入れています。

10年後には「名古屋土産といえば麩柳商店の『那古野麩』」と言われるブランドを確立し、伝統と革新を融合させた持続可能な事業展開を目指します。

有限会社麩柳商店

明治10年の創業以来、名古屋の生麩を那古野麩として伝統の味と技を守り続けて130年の麩柳商店が日本の伝統食品の健康的で体に優しいスローフードとして、モチモチした食感の生麩をお届け致します。

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